パワーポイント症候群

../Risc/News(麗澤大学情報システムセンターニュース)No.17 巻頭言(2005.1.31)

../Risc/News-#17考えてみると、1日のおよそ半分はコンピュータ画面と向き合う生活を続けている。自分専用のパソコンを持つようになって、かれこれ20年余り(これまでの人生の半分)になるので、半分の半分、つまり人生の4分の1をディスプレイの前で過ごしてきた計算になる。

困ったことに、仕事だけでなく、趣味もコンピュータである。PDAのような小さい機器が特に好きで、新しいものが出るたびに購入し、平均3ヵ月ほどで手放すことをずっと繰り返している。「利きタバコ」や新製品開発のために1日中タバコを吸っているJTのブレンダーさんが、「一番幸せなひとときは、仕事を終えた後の一服です」と言っていたが、まったく同じ心境である。

趣味としてのコンピュータで最も好きなのは、やはりMacintoshである。正直Windows と併用すると、操作上も互換性の点でもとまどうことばかりだし、最近では、Macでなければできないことよりも、Macだとできないことの方が多くなっている。それでもわざわざMacにこだわるのは、意地あるいはへそ曲がり以外のなにものでもない。しかし、電源の切り方一つとっても、Windowsは、マウスで「スタート」―「終了オプション」を順にクリック、などという訳のわからない操作が求められるが、Macは電源ボタンを指で押すという、電気機器としては至極当然の操作をする。Macは普通のことを普通にさせてくれるコンピュータなのである。

多くのMac信者が反Microsoftと思われているが、僕は、Microsoftが好きである。世間的にはイマイチ盛り上がらないTabletPCも愛用している。白状するが、僕は板書ができない教員である。学生に背中を見せるとなにかぶつけられそうで、というのはウソだが、授業ノートを作らないので、授業のストーリーや講義内容は、パワーポイントのスライドだけが頼りである。補足事項はタブレット・ペンでPCの画面に直接書き込んでいる。また、こう見えても超がつくほど内気な僕は、自己紹介や挨拶、そして大勢の前で話すことが極度に苦手である。パワーポイントの力を借りることで、ようやっと教壇に立っているといっても過言ではない。もうこうなると、プレゼンテーション・ソフト依存症、いわゆるパワーポイント症候群(Powerpoint Syndrome=PPTS)である。

メディア論の祖といわれるM.マクルーハンは、メディアを「人間の身体(能力)を拡張する(The Extensions of Man)」ものと位置づけた。トンカチは腕の拡張であり、望遠鏡は眼の拡張、マイクは声帯の拡張であり、車は足の拡張ということになる。パソコンとプレゼンテーションソフトウェアは、間違いなく僕の能力を拡張してくれるメディアである。

最近の調査によれば、子最近の調査によれば、子供がインターネットを始めた年齢は、小学1年生がトップで22%、3~5歳が20%で続いている。2歳以下も1%いる(gooリサーチ[2004年])。うちの3歳の娘も、すでにネットデビューを果たした。特に教えた覚えもないのに、マウス遣いが結構サマになっている。彼女は、これから人生の半分以上をコンピュータとともに過ごし、自らの能力と可能性を、親の世代には想像できないほど広げていくものと思っている。

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